EU外AI提供者のEU認定代理人:義務・価格・選び方(2026年)
- 高リスクAIまたは汎用AIモデルのEU外提供者に義務(第22条、第54条)
- 社内利用やEUユーザーと接触しないAIは不要
- 年間価格は€420~€1,490(2026年10月確認)
- 書面による委任、通知、10年間の書類保管を含む
- 代理人未指名で最大€1,500万の罰金
- 必要性を判断するチェックリストと実例あり
比較されたプロバイダー
| プロバイダー | 設立国 | 公開価格 | 価格に含まれる内容 | 最適対象 |
|---|---|---|---|---|
| REP27 — Europe Services, SE | チェコ共和国 | €1,490/年(更新€1,190) | AI法(第22条、第54条)代理人委任、通知、8言語の透明性文書、AI登録、10年の書類保管、公開バッジ、当局対応。スイス(nFADP)対応含む。 | 高リスクAIまたは汎用モデルを提供し、EEAとスイスのカバーを希望するEU外提供者 |
| DPO Europeソース | オランダ | €950/年(初年度) | AI法認定代理人(詳細非公開) | 低価格を求めるEU外提供者 |
| Prighterソース | ドイツ | €420/年(Growthプラン) | AI法代理人(詳細非公開) | 予算が限られたスタートアップや中小企業 |
| Engage Complianceソース | 英国 | €690/年(Band 0) | AI法代理人(詳細非公開) | 小規模なEU外企業 |
| CRA-Portalソース | EU | 要問い合わせ | CRA認定代理人、10年の書類保管、当局対応 | サイバー・レジリエンス法対象の製造者 |
| DataShieldソース | EU | 要問い合わせ | AI法代理人、書類保管、当局対応 | カスタマイズサービスを求めるAI提供者 |
| VATAiソース | EU | 要問い合わせ | EU/UK/USA代理人、技術文書管理、当局対応 | 多市場展開するAI提供者 |
| URIEL Consultソース | EU | 要問い合わせ | CRA代理人、書類保管、当局対応 | サイバー・レジリエンス法対象の製造者 |
価格は各プロバイダーのウェブサイトに掲載されたもので、26 October 2026 の時点でのものであり、明記されていない限り VAT は含まれていません。各行はそのソースにリンクしています。
法律の要件:主要条文、義務、実例
EU規則2024/1689(AI法)は、EU内でのAIシステムの使用と販売を規定しています。EU外の企業がEUのユーザーにAIシステムや汎用モデルを提供する場合、EU内に認定代理人を指名する義務が生じることがあります。主な法的根拠は以下の通りです:
- 第22条:高リスクAIシステム(雇用、信用、バイオメトリクス、安全保障など)をEU外から提供する場合、EU市場での提供前に認定代理人を指名する必要があります(出典)。
- 第54条:汎用AIモデル(GPAI)をEU外から提供する場合、EU内での利用開始前に代理人を指名する必要があります(出典)。
- 第50条:すべての提供者は、AIが生成するコンテンツやユーザーとの対話(チャットボット、画像、音声、動画、ディープフェイク等)に関し、EUユーザーに透明性のある通知を提供する義務があります。
以下の場合は代理人指名義務はありません:
- AIが内部利用のみでEUユーザーと接触しない場合
- 純粋な研究、個人利用、非商用のオープンソース利用(高リスクや禁止システムは例外あり)
- 企業がすでにEU内に拠点を持つ場合
EU代理人は当局やユーザーの公式連絡先であり、技術文書や適合宣言を10年間保管する義務があります(出典)。
サービス内容の比較表:
| プロバイダー | 含まれるもの | 含まれないもの | 追加料金 |
|---|---|---|---|
| REP27 | 委任、文書、登録、バッジ、スイス対応 | 監査、テスト、技術評価 | 要問い合わせ |
| DPO Europe | 委任 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
| Prighter | 委任 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
| Engage Compliance | 委任 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
| CRA-Portal | 委任、書類、当局対応 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
| DataShield | 委任、書類、当局対応 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
| VATAi | 委任、書類、当局対応 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
| URIEL Consult | 委任、書類、当局対応 | 詳細非公開 | 要問い合わせ |
REP27のみがスイス(nFADP)対応や公開バッジ、多言語文書を明示しています。監査や技術テストはどのプロバイダーも含みません。
代理人の選び方:意思決定マトリクス、チェックリスト、実務基準
AI法のEU認定代理人選定は、実務的かつ法的要素に基づきます。すべてのプロバイダーが同等のサービスや価格を提供しているわけではありません。選び方のポイントは以下の通りです:
- AIの種類:汎用モデル(GPAI)または高リスクシステムの場合は指名義務あり。チャットボットやコンテンツ生成AIは最低限の透明性通知が必要(第50条)。
- 設立国:EU外の企業のみ指名義務あり。EU内拠点があれば不要。
- 販売対象市場:EUユーザー向け(B2CまたはB2B)であれば義務発生。社内利用や研究目的は不要。
- 販売チャネル:Amazon、Etsy、eBay等マーケットプレイスで自社AIを販売する場合は義務あり。プラットフォームツールのみ利用は通常不要。
- 予算と付加サービス:価格は€420~€1,490/年と幅広く、サービス内容も異なります(表参照)。公開バッジ、多言語対応、スイス対応の有無も考慮。
意思決定マトリクス:
| あなたが… | → 代理人指名は? |
|---|---|
| EU外のAI提供者(汎用モデルまたは高リスク)でEU向け | はい、義務(第22条/54条) |
| Amazon/Etsy/eBayのマーケットプレイス販売者で自社AIを提供 | はい、システム提供者なら義務 |
| 社内利用のみでEUユーザーに出力なし | いいえ |
| 純粋研究、個人利用、非商用オープンソース | いいえ |
| EU内企業 | いいえ(ただし第50条の透明性義務は常にあり) |
実務チェックリスト:
- AIシステムが高リスクまたは汎用モデルか確認
- 企業がEU外か確認
- AIの出力がEUユーザーに届くか評価(直接またはパートナー・マーケットプレイス経由)
- 必要ならプロバイダーを選び技術文書を準備
- 書面で代理人を指名
- 全言語で透明性通知(第50条)を用意・公開
- 書類を10年間保管
- スイス対応の必要性も確認(nFADP)
このチェックリストで不要なコストや罰則リスクを回避できます。
価格に含まれる内容:サービス、制限、隠れコスト
プロバイダーの公開価格には通常以下が含まれます:
- EU代理人としての書面委任(AI法第22条/54条)
- 技術文書と適合宣言の10年間保管
- 当局やEUユーザーからの問い合わせ対応
- 透明性通知文書(第50条)、提供時のみ
- AIシステム登録と年次更新(該当時)
具体的比較:
- REP27は公開バッジ、8言語の文書、AI登録、2営業日以内の問い合わせ対応、スイス対応(nFADP)を含みます。監査や技術評価は含まず明示しています。
- DPO Europe、Prighter、Engage Complianceは代理人サービスのみを公開し、文書やバッジ、多言語、スイス対応の詳細は非公開です。
- その他(CRA-Portal、DataShield、VATAi、URIEL Consult)はサイバー・レジリエンス法関連サービスを提供しますが、AI透明性や追加サービスの詳細は不明です。
隠れコスト・制限:
- 監査、技術評価、適合テストはどのプロバイダーも含みません(REP27は明示)。
- 公開バッジ、多言語文書、スイス対応、マルチマーケットサービスは明示されていない場合は別料金の可能性あり。
- 更新、標準外の問い合わせ、マルチマーケット対応、早期解約に追加費用が発生する場合があります。
- 代理人はあくまで連絡窓口であり、法的責任は提供者にあります。
契約前に必ずサービス範囲を確認し、書面での明細を求めてください。
指名手続き:具体的ステップと事例
AI法のEU代理人指名はプロバイダーにより若干異なりますが、一般的な流れは以下の通りです(REP27および他社情報に基づく):
- プロバイダーとプラン選択:価格表を参照し、含まれるサービスを確認。REP27は透明性文書、登録+透明性、AI法代理人の3プランを用意。
- オンボーディングフォーム記入:企業情報、AIシステム説明、リスク分類(高リスク/汎用)、対象市場、販売チャネル(B2B、B2C、マーケットプレイス)、スイス関連質問に回答。
- 委任書と証明書受領:電子署名(REP27はeIDAS対応)付きの書面委任、QRコード付き公開バッジ、多言語透明性文書を受け取る。
- 透明性文書の公開準備:チャットボットや生成コンテンツ、ディープフェイク等に関する通知を公開(第50条)。REP27は掲載場所も指示。
- 技術文書の保管:技術文書と適合宣言を10年間保管し、当局要請時に提示可能に。
- 当局からの問い合わせ対応:代理人は監督当局やユーザーの連絡窓口。REP27は2営業日以内の対応を保証。
- 年次更新:指名は1年有効で、更新が必要。割引価格を提供するプロバイダーもあり。
実例:REP27では支払い後24時間以内に指名完了。AWS Marketplace経由の支払いも可能で、新たなプロバイダー契約不要。
リスク・罰金・代理人未指名時の影響
代理人指名義務違反はAI法の独立違反行為であり、他の違反がなくても罰則対象です。具体的リスクは以下の通りです:
- 行政罰金:透明性義務や代理人指名違反で最大1,500万ユーロまたは全世界売上高の3%。禁止行為の場合は3,500万ユーロまたは7%。
- 商業的排除:マーケットプレイスやアプリストア、企業顧客は代理人指名証明や公開バッジを求める傾向が強く、未指名はプラットフォーム利用停止や契約喪失の原因に。
- 説明要求:当局や顧客は委任書、透明性文書、技術文書の提示をいつでも求める。未対応や遅延は悪化要因。
- 通知義務:2026年9月11日以降、EU外製造者は代理人指名を当局に通知する義務あり(出典)。
シナリオ:米国のAI汎用モデル提供者が代理人未指名でEU顧客に提供すると、高額罰金とマーケットプレイス停止、主要顧客喪失のリスクがあります。期限を知らなくても問われるのは通知の有無と対応窓口です。
プロバイダーがあまり言わないこと:除外事項、制限、実務注意点
- 代理人サービスは形式的義務のみ:監査、技術テスト、適合評価は含まれません(REP27は明示、他は不明)。これらは別途専門機関に依頼が必要です。
- 責任範囲の限定:代理人は当局・ユーザーの連絡窓口であり、法的責任や適合性は提供者にあります。
- 公開バッジ、多言語、スイス対応:すべてのプロバイダーが含むわけではありません。REP27は提供、他は不明。
- 通知文書や登録の年次更新:これらは義務であり、プロバイダーによっては追加料金が発生します。
- 解約・代理人変更の手続き:早期解約や代理人変更時に予告や特別手続きが必要な場合があります。契約条件を必ず確認してください。
- マルチマーケット対応:UK、米国、スイス向け販売がある場合、複数代理人の指名が必要か確認してください。
サービス内容と除外事項を文書で確認し、指名後のトラブルを防ぎましょう。
実例シナリオ:義務と簡易コンプライアンス手順
- 米国SaaSスタートアップ:EU顧客向けにチャットボットAIをAPI経由で提供。代理人指名(第50条、第54条)、多言語透明性通知の公開、技術文書10年保管が必要。推奨はREP27(EEA+スイス対応、多言語文書)または予算重視ならPrighter(公開バッジなし)。
- 中国Amazon販売者:自社AIを商品推薦に利用しEU顧客向け販売。自社開発・運用なら代理人指名義務(第22条/54条)。プラットフォームツールのみ利用なら不要。AIの「自社所有」か確認し、必要なら指名と通知を。
- 英国オンラインショップ:社内分析用AI(例:在庫最適化)のみ利用しEU顧客向け出力なし。代理人不要。将来、AIがEUユーザーと対話やコンテンツ生成を始めた場合は透明性通知義務(第50条)が発生。EU拠点があれば代理人は不要。
いずれもAIのリスク分類と対象市場の正確な評価から始め、以下の手順が最も簡単なコンプライアンス方法です:
- AIの分類(高リスク/汎用/その他)
- EUユーザーへの到達有無の確認
- プロバイダー選定と文書準備
- 代理人指名と通知文書公開
- 文書・通知の定期更新
これが必要ない場合
- EUユーザー向け出力を伴わない社内利用のみの企業
- 純粋研究、個人利用、非商用オープンソース利用
- すでにEU内に拠点を持つ企業
よくある質問
AI法でEU代理人を指名する義務はいつ発生しますか?
EU外の企業が高リスクAIシステム(第22条)または汎用AIモデル(第54条)をEU内ユーザーに提供する場合に義務があります。社内利用や純粋研究は不要です。
AI法代理人とGDPR代理人の違いは?
AI法代理人はEU外のAI提供者がEU内でAIシステムやモデルを提供する際に必要(第22条/54条)。GDPR代理人(第27条)は個人データ処理に限定されます。両者は異なる役割で、両方必要な場合もあります。
代理人を指名しなかった場合の影響は?
指名しないことは独立した違反で、最大1,500万ユーロまたは世界売上高の3%の罰金対象です。さらにマーケットプレイスやアプリストア、公共調達からの排除も起こり得ます。
代理人サービスはスイスもカバーしますか?
REP27はスイス(nFADP)対応の無料評価を提供します。条件を満たす場合はスイス代理人が必要ですが、REP27は提供していません。他のプロバイダーは個別に確認してください。
技術文書の保管期間はどのくらいですか?
技術文書と適合宣言はEU市場投入から10年間の保管が法律で義務付けられています。
代理人サービスに監査や技術テストは含まれますか?
いいえ、REP27も他のプロバイダーも監査や技術評価、適合テストは含みません。これらは提供者自身で第三者機関に依頼する必要があります。
AWS Marketplace経由で代理人を指名できますか?
はい、REP27はAWS Marketplace経由での指名を提供しており、AWSの請求で直接支払えます。サービス内容は直接契約と同じです。
代理人は当局からの問い合わせに対応しますか?
はい、代理人は当局やEUユーザーの公式連絡先として迅速に対応する義務があります。
代理人の指名は毎年更新が必要ですか?
はい、代理人の指名は1年ごとに更新が必要です。プロバイダーによっては更新時に割引を提供しています。
代理人指名に必要な情報は何ですか?
企業情報、AIシステムの説明、リスク分類、技術文書などを提供します。プロバイダーが必要な情報収集をサポートします。
AmazonやEtsyなどのマーケットプレイスは代理人を要求しますか?
自社AIをEU向けに販売する場合は代理人指名が必要です。プラットフォームのツールのみ利用の場合は通常不要ですが、マーケットプレイスのポリシーを必ず確認してください。
年の途中で代理人を変更できますか?
はい、可能ですが一部プロバイダーやプラットフォームは事前通知や特別手続きを求める場合があります。契約条件を確認してください。
ソース
- REP27 — Europe Services, SE (AI Act) — gdprrepresentative.com
- DPO Europe — Authorised Representative under the EU AI Act — data-privacy-office.eu
- Prighter — EU AI Act General Purpose AI — prighter.com
- Engage Compliance — AI Act Representative — engagecompliance.co
- CRA-Portal — Rappresentante Autorizzato UE — cra-portal.eu
- DataShield — AI Act Representative — datashield-guardian.com
- VATAi — Authorised Representative Services — vatai.com
- URIEL Consult — CRA Representative — cra-representative.eu